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Harf Tone考

フルオリが好きなコレクターは怒るでしょうが、僕はプレイヤーなので所有しているStratocasterのワイヤリングはすべて変えてます。

  • ノイズレス効果
  • 出力増強(ハムバッグ、および、ハーフトーン)
  • 鼻つまみ音(ハムバッグ、および、ハーフトーン)
を常時出すようにしています。

Stratocasterは線が細い?

ESPFlying Y(LH-200装着)Gibson Flying Vを鳴らすと、簡単にHard Rockな歪んだサウンドが出るが、Fender Stratocaster

  • 線が細い
といわれる。

確かに、Flying Y(LH-200装着)Flying Vの音量・音色(歪み)にあわせてMarshallをセッティングし、そのままStratocasterに差し替えると、音量・音色(歪み)に物足りない。ノブの回転でFullと50%の違いがあると感じる。

リッチー・ブラックアMarshallサウンドも歪んではいるが、Gibson系ハムバッキングを使用している典型的ブリティッシュへヴィロックバンドの音色と比較すると歪み感では劣る。

イングウェイはPickupをDimazioに変更してあのサウンドを出しているし。

ランディーローズマイケルシェンカースコーピオンズも(Gibsonそのものかどうか別にして)Gibson系ハムバッキングだね。

だけれど、その線の細さゆえか、メリハリニュアンスという点でFender Stratocasterが好きである。

Harf Tone

ずっと昔、誰かが音を出しながら3点セレクトスイッチを動かしたら、

  • RearとMiddle
  • MiddleとFront
ピックアップの音を同時に出すと、
気持ちのいい音
になることを発見し世間で流行、サードパーティ製のコピーモデルでは5点スイッチも当たり前、でFenderも1977年後期から5点セレクトスイッチにした。

二つのピックアップの距離のから生じる二つのピックアップ間の音色の相違が合成されると、

  • 同じ周波数で半波長位相がずれている波形は打ち消され
  • 同じ周波数で位相が重なる波形は大きくなり
を基本として、
  • 同じ周波数でも振幅が異なる場合
などの様々な要素も加味し、Harf Tone効果として知られるようになった。

現行の新生Fenderと異なり、かつてのFenderは、

  • Front・Middle・Rearと全て同じピックアップを装着
していた。Front用・Middle用・Rear用と言うものが存在していないのである。

まったくの運によって、

  • 磁極の方向が逆
  • コイルの巻き方向が逆
というピックアップを手に入れられたら、Harf Tone使用時に
  • ハムノイズの少ないサウンド
を手に入れられた。

まだ本家Fenderが存在していた1980代前半、月刊Playerで、

  • Dimazio Fat Stratoを利用してノイズの少ないHarf Toneを得る
事を狙った記事があった。よっぽど楽器屋さんと仲が良いか、財力使ってFS-1を買い占めるしかない方法なのだが、
  • FS-1をギターに実装してあるピックアップと正対させ、磁力が引き合うか逃げるか?を見る
というもの。有名人ならともかく一般人には敷居の高い方法だ。

Humbacking効果

※ 電気・電子など物理工学を理解していないで、「どこかに書いてあったから」とか「誰かが言っていたから」などと言う人はここから先を読まないこと!

コイル逆巻き・逆磁極で二つのシングルピックアップを用意し、

  • 信号にとっての正相接続でノイズは逆相になり打ち消しあう
  • 信号にとっての正相接続で音が倍の音量になる
    ※ 信号にとっての逆相接続するとギター音は小さくなりノイズがでかくなる
事を利用し、Gibson系ハムバッキングが生まれた。
※ 「ジー」というハムノイズを逆相で打ち消しあうのでハムバックという。
※ コイル正巻き同士でも、逆相で接続すれば同効果はある。

この二つのシングルピックアップの効果は、そのピックアップが多少離れていてもそれなりの効果がある。ブライアン・メイのギターはそのピックアップ間の距離差から生じるギター信号の相違を利用し、

  • 信号にとっての逆相接続でギター音の同じ音声成分波形は打ち消しあう
    ※ Rear・Middle・Front、それぞれの音色が異なるから、音が消滅することはない!
  • 信号にとっての逆相接続でギター音の異なる音声成分波形は生き残る
  • 信号にとっての逆相接続でノイズは逆相になり打ち消しあう
    ※ ハムノイズはRear・Middle・Front、どこでもほぼ同じ
  • フィードバックやオーバードライブする程度に増幅する
ことであの鼻つまみ音を出している。

レオ・フェンダー自身もこの効果には気付いていて、一部のギターでは異なる位置に取り付けたコイル逆巻き・逆磁極の二つのシングルピックアップをハムバック接続したギターも発表している。

Harf Tone効果とHumbacking効果の合成

Harf Tone効果Humbacking効果も、コイル逆巻き・逆磁極で二つのシングルピックアップで実現すると、

  • 信号にとっての正相接続でノイズは逆相になり打ち消しあう
  • 信号にとっての正相接続で音が倍の音量になる
である。接続方法が、
  • 並列か直列か
の相違のみである。効果は同じだがインピーダンスが異なるので、音色は異なる。

  • 並列接続の場合、合成インピーダンスは半分になり、高域ピークはなだらかになる。
  • 直列接続の場合、合成インピーダンスは倍になり、高域ピークは鋭敏になる。
高域ピークの効果は、
  • Gibson系ハムバッグギターで500K?のコントロールを250K?に変更すると音がマイルドになったり、
  • Fender系シングルコイルギターで250K?のコントロールを500K?に変更すると音が硬くなったり、
することでも確認できる。

シングルコイルピックアップのハムバック接続とハムバッキング・ピックアップとの相違は、二つのピックアップの距離のから生じる二つのピックアップ間の音色の相違から生じる効果が多くあるかほぼないか?の相違だ。

配線変更 常時Harf Tone効果と常時Humbacking効果を得る方法

現在ではDimazio FS-1を買い占めて逆磁極を探して利用しなくてもFender Custom Shopが、

  • Texas Special
  • Fat 50's
というピックアップを出している。どちらも高出力系のピックアップである。60's Specialより雑で平坦という感じが無くも無いが、ピックアップのみの提供で
  • Middle用ピックアップが、他のピックアップと逆磁極・コイル逆巻き
なのはこれらしかない。
※ アメリカンスタンダードなど製品組み込み済みでミドルピックアップが逆磁極・逆巻きというものはある。

実は、この目的のためには他のピックアップと逆磁極のピックアップを入手できれば十分だ。コイルの巻き方向が同じでも、(+)と(-)を逆に接続すればよい。見かけ上、同士、同士とならず、の接続となってしまうだけ。

もちろん、コイルの巻き方向が逆で同磁極方向でも同様である。(+)と(-)を逆に接続すればよい。
※ コイル巻き直しに自信があれば逆巻きもありだ。

逆磁極・コイル逆巻きならば見かけ上も同士、同士となる。

僕の持っている数本の1976年製USA Fenderも、60's Specialピックアップも、Texas Special及びFat 50'sのフロント用ピックアップとリア用ピックアップは、全て、

  • 同方向磁極、コイル同方向巻き
である。何かの本では、1960年代にこれらとは逆磁極のこともあったらしい。このピックアップを手に入れても今回の目的は遂行可能だが、Vintageをそんなことに使用するはいかにももったいないTexas Special及びFat 50'sのミドル用で十分でしょう。

逆に、1960年代の逆磁極ストラトで常時Harf Tone効果Humbacking効果を得ようとする場合、簡単に入手できる普通のストラト用ピックアップをミドルに利用すればOKだ。

で回路である。
回路図

  • 通常のRearポジションでRear + MidHUMBACK
    • RearMidの割合をToneで調整、
  • 通常のRear・MidでRearのみ
    • Toneは全開で。
  • 通常のMidポジションでRear + MidHARF TONE
    • ToneでMidのブレンド量を調整
  • 通常のMid・FrontでRearFrontHARF TONE
    • ToneでFrontのブレンド量を調整
  • 通常のFrontポジションでFront + MidHUMBACK
    • FrontMidの割合をToneで調整、
※ 通常のMid・FrontとFrontポジションでのみ、通常Toneコントロールが可能

で、Rearだけで鳴らしたいということが無ければ、3点スイッチでもOKだ。

この図では、Texas SpecialFat 50'sのMid用ピックアップを既存のMidピックアップと交換することを前提に書いている。標準Stratocasterの各ピックアップ位置の音でリア位置の音が好きな場合、回路図のMidをリア位置に、Rearをミドル位置に実装すると、3点位置どこでもリア位置のピックアップが鳴る事となる。もちろんそれはTexas SpecialFat 50'sのMid用ピックアップなのだが・・・。

 
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最終更新日2009年03月29日