ニセ科学を科学する
というシンポジュウムを開催するという(→ Link)。いい事だ。活性酸素が体をさびつかせる、それを対策する為に水素イオンを発生する → 活性水素水、なんて言うのもあるしね。
金の腕輪
が健康にいい、という人がいる。なんでも金がイオン化してその電子が血行を良くするとか。
同様の考え方で、お正月などめでたい時に飲む「金箔入りのお酒」は体にいい、という人もいる。
きちんと物理を習ったはずなんだけれど、バッカだねぇ。
ネットで探せばいくらでもイオン化傾向の表は出てくる。金は常温・常圧でイオン化しない。イオン化傾向表でも一番イオン化しない金属として記載があるはずだ。
金がイオン化するにはまず溶けなきゃ駄目なんだが、常温・常圧で金を溶かす液体というと王水がある。王水は濃塩酸と濃硝酸を約3:1に混ぜた溶液である。
シアン化カリウム等のシアン化合物にも金は溶解する。最大の用途は金めっきである。指輪やネックレス等の装飾品や携帯電話・コンピュータ等の電子部品関係に使用する。
で人体がこんな液体に触れたらどうなるか?ってことを考えれば、金の腕輪も金箔入りのお酒も人体の健康とは全く関係がないことが判る。
→ 君の胃袋は王水やシアン化化合物で満たされているのかい?
科学では説明がつかないこともある。
早稲田大学の大槻教授が「霊魂は信じない。宇宙人も信じない。」と言ってよくTVタックルで論争する。霊魂信者や宇宙人信者の説得力のなさが全く面白くないのだ。だからと言って大槻教授の論にも賛成は出来ない。
大槻教授の論法として
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自分が見たことないから信じない
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科学で説明つかないから信じない
がある。
直接自分の目で「地球が丸い」事を確認した人類はごくわずかの宇宙飛行士だけである。しかし、様々な間接的な事象から、今ではほとんどの人類は「地球が丸い」ことほ事実として受け入れている。大槻教授もその1人であろう。
アポロ宇宙船から撮影したといわれている「丸い地球」の写真はハリウッドで撮影したかもしれない何てことを考えるのはSFの世界である。
現在人類が到達している科学で説明がつかない事象も多々ある。だからと言ってその事象を無視することも出来ない。不治の病の多くは原因が不明で治療法がない。科学の一分野である医学で説明できない。だからと言ってその不治の病を「病気ではない健康な状態」とはいえない。最先端の宇宙物理学者のホーキング博士がALS患者であることを、大槻教授は「健康状態」とは言わないだろうしね。
オカルト的なこと・神がかりな事をすべからく「なかったこと」とする大槻教授の論は非科学的で非論理的に感じる。僕はあくまでもそのいくつかは現在人類が到達している科学で説明がつかないというだけと思う。だからと言って全てのオカルト的なこと・神がかり的なことを信じているかどうかは別である。
初出 Jan 09 2006