HIEDA NET Corpration
 > これは変だよ  > だからテレパシーは効かないんだよ!


 
・・・ だからテレパシーは効かないんだよ!

正直言って、怒ってます!

  「ブロードバンドルーターの新しいファームウェアでEPRTのFTP-ALGに対応したということなので、機能を確認してくんない?」
というオーダーがT小隊長から来た。その話をもって来たT小隊長とKR小隊長がEPRTとEPSVという語、そしてFTP-ALGという語について理解していなのにオーダーしてきたよう感じたので、
  「どのような内容で、どのような振舞いを観察すればいいのか?」
尋ねた。やっぱり答えが返ってこなかった。

  • 何を目的としてEPRTのFTP-ALGを実装したのか、
  • 何をやりたくてEPRTのFTP-ALG機能を実装したのか、
これがわからないのでは観察ポイントが決定できない。何を観察すればよいのかが判らない。そこで、 IPv6対応のブロードバンドルーターのFTP-ALGが
  • LAN側IPv6、WAN側IPv4ならば、eprt←→port・epsv←→pasv変換をしていること
  • LAN側IPv4、WAN側IPv6でも、port←→eprt・pasv←→epsv変換をしていること
を確認すればよいのか?、はたまた、目別の環境で別の振舞いを確認すればよいのかを訊いた。T小隊長とKR小隊長では、まったく判らないということなので、しばらくは使用ツールの動作確認をすることとした。

FTPサーバとしてはFPRTとEPSV対応の必要から、Windows標準のIISのFTPサーバーではなく、orenosvFTPサーバIPv6対応版を用意し、

  • IPv6のアドレス同士では、E有りで通信すること、
  • IPv4のアドレス同士では、E無しで通信すること
を確認した。

ところがこのオーダーが来た二日目の夕方になって、O小隊長から僕の分隊メンバーに対して、

  • IPv4のFreeBSD端末でEPRTで通信しようとした人がインターネット上のFTPサーバと通信できなかった事例の報告を受け、
  • 今回のEPRTのFTP-ALG機能を実装した
という話があった。これも分隊メンバーがO小隊長に質問したからという。

その一時間後、
  「どうでした?」
とO小隊長が実験結果を訊いてきた。どうもこの方には、

  • そこら辺に転がっているWindows XP端末のようにFreeBSD端末は転がっていない、新たに用意する必要がある、
  • インストールするOSの用意だけでなく、インストール対象のPCも用意しなければならない
ということが判っていないようだ。でも一応お客様であるから、
  「FreeBSDのPCが用意できておりませんので。」
という程度にとどめた。この程度がわからない方に理由を説明しても理解できないだろうから。
※ 実験で利用する環境・機材はお客様手配である。(著者注)
※ 環境支援というチームもあるくらいだしね。(著者注)

逆に質問した。
  「NAT越えを実現するためのFTP-ALG機能で、IPv4利用時でもEPRTコマンドに対応した機能の確認をする、という事を、僕らにオーダーしてきたT小隊長やKR小隊長に伝わっているのですか?」
と訊くと、
  「多分知らないと思います」
と何の疑問も無く言う。どうも的外れを起こしている問題の原因に気付いていないようだ。もっとも気付くレベルならば的外れを生じさせる前に手を打っているだろう。
  「それでは今回のNAT越え問題をご存知の方はどの程度いらっしゃるのですか?」
  「そんなにいないと思います。多分、FreeBSDを利用して事象の発見をした人と、ブロードバンドルーターの仕様設計者、そして私程度だと思います。」
という。これでは、T小隊長がアバウトなオーダーしか提示できないはずだ。今回のFTP-ALG機能の確認をするには、

  • IPv4で動作しているFreeBSD端末の用意(IPv4でもEPRTが利用できるから)
  • IPv6に対応(つまりEPRT/EPSVに対応した)FTPサーバの用意
が必要ということなのだ。そして、
  • NATが動作しているブロードバンドルーターのLAN側にいるIPv4端末から、インターネット上のFTPサーバとIPv4のアドレス同士でEPRTコマンド通信できること、
を確認することが目的だったのだ。

O小隊長は、T小隊長にこのことを事前に伝えるべきだったのに伝えていないのだ。だから三日間も無駄に時間が流れてしまうのだ。だから的外れの実験をしてしまうのだ。

以前より、やり方考えましょう会確かめましょう会に情報を公開しないから困る、という事を言っている人がいて、その認識は確かめましょう会では一般化・共有認識となっているが、今回はこの確かめましょう会のカテゴリーに入る人が事前に情報を得ていながらも、その情報をグループ内に伝えていないのが問題である事も判った。グループごとの縦割り組織の弊害だけでなく、構成員の能力にもよることが判った。

なぜ伝えなかったのかは判らない。なぜ伝える必要を感じなかったのかは判らない。少なくとも、まともな情報を伝えていないにもかかわらず、
  「どうでした?」
とまだ取り掛かってもいない実験結果を訊いてくる思考回路には「どうなってるの?」と疑問をもつし、その神経のガサツさは迷惑である。人間の稼動もタダではないのだから、コスト意識の無さもビジネスマンとして問題である。

「犯人探しはしない。」と言う組織なので対策はとられないだろう。しかし、犯人探しはしない、ということと、反省をしない、ということはまったく異なる。当事者が問題を問題として認識し反省しない限り、同様の論理構成の問題はなくならない。

最終更新日 06 FEB 2005


 

 (C)2003 HIEDA NET Corporation All rights reserved.